* acl2ライブラリ
* acl2ライブラリ #1
-(by [[K]], 2022.11.20)

** (0)
-acl2ライブラリは、できるだけC言語が使いやすくなるようにするためのライブラリです。このライブラリが提供するマクロや関数などは、すべてAかaで始まる名前が付けられています。

-説明はいかにも他人が使うことを想定しているように見えるかもしれませんが、基本的には自分用で作っています。しかし誰が使ってもかまいません。

** (1) 構造体の宣言
-基本的には以下のようにしてください。
 AClass(名前) {
   メンバの宣言
 };
-こうするだけで自動的にtypedefもされるので、以降はstructを書かずに使用できます。これはC++の仕様に似せています。

~
-もし、とりあえずクラス名だけ宣言してポインタを使えるようにして、あとでクラスの中身を宣言したい場合は次のようにしてください。
 AClass0(名前);
 これ以降は「名前 *」が使えます。
 
 AClass1(名前) {
   メンバの宣言
 };

~
-裏方はこうなっています。
 #define AClass0(nam)   typedef struct nam##_ nam
 #define AClass1(nam)   struct nam##_
 #define AClass(nam)    AClass0(nam); AClass1(nam)

** (2) デストラクタ
-構造体の最初のメンバは、デスクトラクタ関数(deinit関数)のポインタが入っていることが望ましいです。この取り決めがあれば、素性のよくわからないオブジェクトであっても、少なくともデストラクタは呼べるということになります。
-デストラクタ関数は、第一引数がオブジェクトへのポインタで、第二引数が整数値になっています。この第二引数で、デストラクト処理の状況を知らせます。0なら通常の終了で、1なら緊急の終了です。一般に緊急の終了の場合は、longjmpなどのような正常なネスト処理が行えない状況などに対応していて、それに配慮した処理が期待されます(正しい順序でデストラクタ関数を呼べていなくてもエラーにはしないとか)。ということで、基本的には通常終了を選んでください。
-多くのオブジェクトでは、0でも1でも同じ終了処理をしています。

-ただまあ、このルールは、acl2ライブラリが提供するオブジェクトが守っているルールであって、acl2ライブラリを使う側のプログラムは、この制約を守る義務はありません。

** (3) メモリ管理
-acl2ライブラリが提供する関数群は、勝手にmallocやfreeを呼び出すことはありません。必ずメモリ管理オブジェクトを経由してメモリ管理を行います(AM)。これによりライブラリ利用者は、acl2ライブラリが勝手にメモリを確保したり開放したりすることを心配しないで済みます。もし自前のメモリ管理アルゴリズムを使いたい場合は、簡単に適用できます。
-この機能のおかげで、オブジェクトごとにメモリ管理の方法を選択することができます。

|AM0|標準のmalloc/freeを呼ぶだけのクラスです。主に共通のインタフェースを提供するために用意されています。|
|AM1|最初にかなり大きなサイズのメモリを親に対して要求します。そしてmalloc要求が来るたびにそのメモリを切り取って渡します。free要求が来てもそれはすべて無視します(!)。|
|AMF1|あらかじめサイズを一つだけ設定しておきます。そのサイズでのmalloc/freeについては、内部で高速に処理します。それ以外のサイズについては、そのまま親に丸投げします。|
|AMF4|AMF1を内部に4つもったAMで、4通りのメモリサイズに対してのみ高速化します。もしもっとたくさんのメモリサイズに特化したければ、このAMを直列につなげばいいでしょう。|
--[補足:AM1] メモリが足りなくなればまた親に大きなサイズを要求して補充します。このAMをdeinitしたときにすべてのメモリを親に返します。
--[補足:AMF1] 指定されたサイズでのfreeの処理は、返されたメモリを線形リストに接続するだけです(前後の領域とのマージは行いません)。そしてmallocでは、もし線形リストにメモリブロックがあればそれを即座に返します。なければ親にmalloc要求を丸投げします。このAMをdeinitするか、もしくは専用のリクエストをすれば、線形リスト内に蓄えておいたメモリブロックも親にfreeで返します。・・・このようなAMは木構造などのクラスがノード用のメモリのmalloc/freeを連発するときに、かなりの高速化を可能にします。

** (4) エラーレベル
-ADbgLvというマクロ定数を定義すると、デバッグ向けの機能が有効になります。定義しないとデフォルト動作になり、ADbgLv=0とみなされます。
-ADbgLv=1で、負荷の小さいデバッグ支援機能が有効になります。消費メモリを確認できるようになるのもこのレベルです。
-ADbgLv=2で、すべてのデバッグ支援機能が有効になります。
-ADbgLv=0でも消費メモリ量くらいは確認できるようにすべきだと思うかもしれませんが、「もうとにかく、してもしなくてもいい処理は全部カットして、速度最優先でやってくれ」というのがADbgLv=0に課された使命ですので、消費メモリレポート機能が動かなくなっても問題はないのです。
-なお、デバッグレベルによって、構造体の大きさが変わることはありません(このルールがなければADbgLv=0のときのメモリ使用量を知る手段がなくなります)。デバッグに必要なメンバ変数はADbgLv=0でも確保されます。・・・たいていはそこはポインタになっていて、ポインタの先でデバッグ情報を管理します。こうすることで、ADbgLv=0時のメモリの無駄使いを小さくしています。また、デバッグ情報のためのAMと通常のAMは別々になっているので、デバッグ時の消費メモリ確認において、デバッグ情報のためのメモリが計上されることはありません。


// arpは外部コンテキストで取得する。ctxはスレッドに固定して持つ。グローバル変数みたいなもの。

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